胡麻豆腐の美味しさは、もっちりとした食感と濃厚なごまの風味にかかっています。
主原材料はゴマとクズの木の根を粉にした本葛粉(ほんくずこ)だけで、単純にいえば根気よく長時間練り上げるだけで美味しくなる料理です。

調理工程は、胡麻の皮をとり、舌触りが滑らかになるまで念入りに磨り潰し、水で溶いた葛粉と合わせて火にかけ、絹のようになるまで練り、冷やし固めるだけです。葛粉に本葛を用いるのが昔ながらの調理法で、高野山や永平寺の寺院はもちろんのこと精進料理にはかかすことのできない逸品です。大変に手間のかかる作業ですが、それだけに奥が深く、調理も修行のうちである禅寺では、大変重要とされています。

~ とろけるような舌ざわり、幽玄の世界に導く胡麻豆腐 ~

本クズの練り方や加熱の仕方、隠し味など独自の製法により、「胡麻の本来の香ばしい香りや風味を損なうことなく、とろけるような舌ざわりと喉ごし」が楽しめます。

昔ながらの本物の作り方 ~

それだけ貴重価値の合った胡麻豆腐ですが、最近では百貨店やスーパーマーケットでもどこでも購入でき、一般的に身近な料理になっていました。しかし普通の豆腐に胡麻を混ぜたものでさえ胡麻豆腐として表記され、本物の味が忘れ去られようとしています。

■ いろいろ食べても、満足できないことはありませんか?

お料理屋さんで食べた「胡麻豆腐」とはなにか違うんだよね~。
最初の食感はとろ~りなんだけど、それが続かないのよね。
とろり~の後に、プチっと切れるんだよね。
ちゃんと胡麻の味はするんだけど、なんとなく軽いんだよね~。
お店の味と違うのは分かるんだけど、これがとは言えないんだよね~、なにか違うんだよね。

そんな思いにとらわれて、なんとなく不満に思われたことはありませんか?
実はあなたのその味覚は正しいのかもしれません。
というのは本クズの代わりに各種デンプン(片栗粉等)を使用しているものが多くあるのです。
そうなんです。実は本葛以外の各種デンプンを原料とし、大豆をはじめとする副原料が使われてたのかもしれません。つまり本物の胡麻豆腐ではなく、違う食品を食べていたのかもしれません。

デンプンから少しグレードが上がっても、海藻から抽出したゲル化剤(カラギナン)を使ったり、タピオカ粉を使って本クズにちょっと近い粘りを出して作られているものも多いのです。

~ 本物の胡麻豆腐は、何も足さない。何も引かない ~

私たちがお届けする胡麻豆腐は、従来の市販の胡麻豆腐にはない濃厚さと、比べものにならないごまの風味が一口食べた瞬間から口の中にまったりと拡がっていきます。
昔ながらの本物の本クズを使う事により、ぷるんともっちりとした食感と後からごまの香りが鼻に抜ける特徴が現れてくるのです。

■ 古くから胡麻で健康

漢方薬の最古原典と言われる「神農本草経」に日々、胡麻を食べることで老化を防げるという記述があります。人には自然治癒力が備わっていますが、この治癒力を高める成分にビタミンEがあります。胡麻にはこのビタミンEが多く含まれています。「E」の弱点は体内で壊れやすい点です。胡麻には、これをカバーする「セサミン」が含まれています。

胡麻の油脂は「不飽和脂肪酸」です。これがコレステロール値を下げ、動脈硬化症を予防します。また、この不飽和脂肪酸は内臓強化に役立ち、美容と健康に優れた効果をもたらします。

胡麻はかなり食物繊維の多い食品です。整腸作用のほか、糖尿病、大腸がんなどの予防効果で知られています。

胡麻のカルシウムは神経を鎮める効果があります。同時にカルシウムの吸収を助ける ビタミンDやタンパク質も豊富で、ストレスの多い人は常食をお奨めします。

この胡麻を効率的に体に取り入れることができるのが「胡麻豆腐」です。
■ 800年前から作られていた胡麻豆腐

農林水産省によれば、(リンクします)

https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/goma_toufu_wakayama.html

「ごま豆腐」は、弘法大師(空海)が約1200年前に開いた高野山で、厳しい修行の中で食べる精進料理の一つとして生まれたといわれている。ごまは非常に栄養豊かな食品で(中略)ごまの栄養を効率よく摂取するために考えられたのが「ごま豆腐」である。ごまを煎らずに生のまま皮を取り除き、高野山の水と吉野葛を合わせてすり鉢で練り上げて炊き上げる。とあります。

あるいは、長崎女子短期大学の古賀克彦 講師によれば、(リンクします)

http://www3.nagasaki-joshi.ac.jp/disclosure/article/ar43/ar43-21.pdf

江戸時代初期の承応3年(1645年)7月に、隠元禅師が中国から長崎に渡来した際に黄檗宗(臨済正宗)の教えと共に普茶料理の胡麻豆腐を伝えたとされています。

黄檗宗大本山の万福寺では普茶料理の献立で胡麻豆腐を「麻腐(マフ)」と表記されています。そして胡麻豆腐が最初に出てくる記述は、和漢精進料理抄(1697)で『麻豆腐(もとうふ)』とある記述で、「麻豆腐とは、隠元禅師が普茶料理の一品として中国より伝えた。」と普茶料理抄(1772)にあります。

蛇足ながら葛粉を使った料理の記述が最初に出てくるのは、江戸時代の初期の料理専門書で日本最古の書物と言われる『料理物語』(1642)のなかに、紹介されているのが最初です。この時から本格的に葛粉が使われるようになったと考えられるので、現在の胡麻豆腐に近い形で作られたのは隠元禅師からではないでしょうか。

まぁ、史料絶対主義が日本の歴史学会にとっての一番の欠点だとすれば、史料に記述されていなくても、弘法大師や道元禅師の時代に中国から伝えたと考えてもおかしくはありません。

■ お召し上がり方

本品は解凍すると作りたての柔らかい状態に戻りますので、カットするのに手間取ります。そのため少し解凍して硬いうちにお好きな大きさにカットしてから、完全解凍してお召し上がりください。

わさび醤油でいただくのが一般的ですが、酢味噌やちょっと甘めの田楽味噌をつけて食べたり、出汁を加えたり、和三盆糖や黒蜜をかけてデザートのように食べたりとアレンジを加えても美味しくいただけます。

■ 原材料:本葛ミックス粉、白ごま、豆乳、だし(いわし、かつお、塩、昆布、蛋白加水分解物、調味料(アミノ酸等)、酸味料)
*胡麻アレルギーにはお気を付けください。
■ 内容量:450g
■ 保管:冷凍・解凍後は冷蔵で三日間
■ 賞味期限:冷凍で60日

■ 月心寺住職 村 瀬 明道尼(むらせ みょうどうに)

胡胡麻豆腐と言えば、この人を語らずにはいられません。故・村瀬 明道尼は臨済宗の尼僧で滋賀県・月心寺の庵主でした。39歳の時に交通事故に遭い右手、右足の自由を失いました。しかし精進料理が評判となり、料理の世界へ。特にごま豆腐は「天下一」と賞され、訪れる客には「吉兆」創業者の湯木貞一、白洲正子、永六輔など著名文化人も多く「精進料理の明道尼」として知られることになりました。

私が明道尼さんを知ったのは40年以上前のNHKのドキメンタリーでした。料理人の間でも明道尼さんの存在は別格の存在で、体が不自由にもかかわらずその作る胡麻豆腐の奥の深さに感銘を受けました。一度は食べに行くべき料理だと思いながら、味合うことができず今日にいたってしまいました。いま思えば、なんと勿体ないことをしてしまったのだろうと反省の日々を過ごしています。

平成十七年七月三日に、NHK教育テレビの「こころの時代」で放映されたものを再現します。

西橋:  「精進料理の明道尼さん」といわれるんですけれど、「美味しいごま豆腐の作り方」というのを教えて頂けませんか。

村瀬:  あんまり難しう考えずに、ともあれ、材料を吟味することと、よい胡麻で、よい吉野葛で、よい水である、ということ。これは名水の「走井」の水で作るから、すべてが美味しいのであって、水道の水で作ったら、ひょっとしたら美味しいごま豆腐はできないかもわかりませんね。あの豆腐が美味しいとか、お酒が美味しいのは、全部水によって味が変わりますから。

西橋:  夜中にごまを摺(す)るんですって?

村瀬:  夜中に摺らんでも昼摺ってもいいんですが、食べるのが十一時ですから。十一時から逆算すると、二時頃からごま摺り始めないと、冷やさならんし、切らならんし、つけならん時間を見ている。遅くても六時には、ごま豆腐が炊きあがって、ちゃんと水によう冷やしていないと、美味しいごま豆腐が食べられないんです。

西橋:  今でも村瀬さんご自身がごまを摺られるんですか? 夜中に。

村瀬:  摺らな、誰もおりませんから。

西橋:  左手で。

料理に関する仕事をするものにとって、この村瀬明道尼さんの料理に向かう姿勢を心に刻み付けてなければいけないと思っています。

おうちで手軽に!本物の「胡麻豆腐」をこの機会にぜひご賞味下さい。